古い話です。昔トラ技通信と言うのがありました。その2号である方がEDN JAPAN誌7年7月号の回路を紹介されていました。その方によるとこの回路では使用するトランジスタのfTが高くないとうまく動作しないということで、実用的に使えないと言う結論でした。
しかしながら、非安定マルチバイブレータの結合をインダクタンスで行い、LR回路の時定数から値を導出すると言うのは簡単にできそうで、この回路の実験を手がけてみたのをほじくり出してこの際報告します。
EDNの元記事では2N5179と言うfT:1.5GHzのTRを使い、L>1μHが測れるとあります。今回実験では替わりに手持ちの中でなるだけfTが高いと思われる2SC3356をジャンク部品箱から探しました。まずはLTSPICEであたりをつけます。
写真1 LTSPICEによる100μHでの発振シミュレーション
Q1のスイッチング、Q2のスイッチング夫々時定数がt=0.7×L/Rで行われるので、マルチバイブレータの発振周波数からL=50/fOSCの計算式で算定できるそうです。試しに100μHでシミュレーションしてみたら発振周波数は529kHzです。計算式から94.5μHとなり、シミュレーション上からでもかなり誤差がある方式のようです。